【1】演技をするってどういう事?

 何をどう考え、どんなことに気を付ければ良いのか…

 今でこそ講師としてフル稼働しているが、演技を始めた頃、『平松ちゃんは、何も言ってくれなくて、冷たい』とよく言われた。何をやっても何となく様になる…器用な奴だと思われていたからだ。
 だが、私的には、常に精一杯だったし、下手な自分が人の演技に口を出すなんてとんでもない!と思っていたのだ。

 では、何故、演技初心者の私が『何となく様になるセリフ』が喋れていたのか!?

 子供の頃、大好きで見続けた海外ドラマやアニメのおかげなのだろう。無意識下に様々な『喋り方』がインプットされていたのだ。
 だから、最初は困らなかった。だが、それでは、当然長続きしない。そう、演技とは、全て意識的なもの(嫌な言い方をすれば、計算されたもの)でなければいけないのだ。

  

【2】声優の演技って、特殊なもの?①

 以前は先輩方に『俳優の演技』と『声優の演技』は違うのか、それとも同じか?あなたは、どう考え、教えているのか、と良く聞かれた。

 内心…求められている答えが分かっていながら、『違うと思っています』と答える。
 すると、必ず『違う、同じ!!』と、お叱りを受ける。『演技の基本は同じ』と。
 …そんなことは、百も承知である。

 では何故、有名な俳優さんがアニメ初挑戦でのインタビューで『アニメは大げさに喋らないとダメでしょう』というコメントをすることが多いのだろう。
 世間一般的にもそう認識されていることが多い。声優以外の人にとって声優と俳優は演技の仕方が違うのである。
 だからアニメを主に観て育って来た声優志望の若者にとって『違う』と言ってあげた方が分かりやすいと思う。
 それ故、敢えて『違う』と言い切るようにしているのである。

  

【3】声優の演技って、特殊なもの?②

 では、何故『アニメ声優のセリフは大げさだ』というような認識が生まれてしまったのか…逆のパターンで考えてみよう。
 有名な俳優のアニメでのセリフが物足りなく感じたことは無いだろうか?もっとうまいはずなのに何故?と思ったことは無いだろうか?
 人は、視覚が80%と言われるほど目からの情報に頼っているのである。名優と言われる方々の表情は素晴らしい!あとたった20%のセリフが加われば100%になるのである。だから、いつも20~30%でセリフを言っている。
 仮にそれ以上で喋ると煩くなってしまう(俗にいうところのくさいセリフ)のだ。
 もう分かったと思うが、声優は、音だけで100%を目指さなければならない。
 『声だけ』と言わなかったのは、SEやBGMなども含んでいるからである。
 聞き手に、より分かりやすく感情を表現したいという思いが強いからこそ、の表現なのです。

  

【4】大切な7・5・3

 若い人に演技の考え方を分かりやすく、印象的に伝える為には、どうすれば良いか!
 そんなことを考えながら、教えているうちにこの『7・5・3』に辿り着いた。
 といっても、今はこの『7・5・3』が良いと思っているというだけの事。この先どんどん考え方が変わっていくことは、目に見えている。
 だが、とりあえず芸歴36年、講師歴21年の私が現状辿り着いた一つの考え方です。
 『物は試し』一度、時間がある時にでも、皆さんなりに検証してみて下さい。
 特別な事は、何もありません。どれも、『ああそんな事か、分かっているよ』と、言われてしまうかもしれません。
 でも、知識として分かっているということと、それが『腑に落ちる』まで考えたことなのか…それが、大切な事なのです。

 では、まず初めに『7』から…『役者にとって大切な7つの力』です。

  

【5】役者にとって大切な7つの力

 実は、昨年の夏頃までは、『5つの力』と言っていました。
 しかし、余りにも軟弱(色々な意味で)な人が多いので、今年から敢えて2つ付け足しました。

1.体力

2.気力

3.読解力

4.想像力

5.表現力

6.集中力

7.??力(何でしょう!?お楽しみ)

◆第1の力…【体力】
 前回『ああそんな事か、分かっているよ。』というようなことばかりです。と書いたと思います。そう、誰もが知っているはずです。【体力】が無ければ(健康でなければ)何も出来ないと!
 それなのに、それなのにです、すぐに体調を崩す人の多いこと!余りにも【体調管理】が出来ていない。だから、敢えて【第1の力】として付け加えました。

 一般の人は、仕事が終われば、後は自由な時間です。しかし、『声優になりたい、いや声優になるんだ』と頑張っている人は、その時間帯でレッスンに励みます。毎日12時間以上働いているのと同じなんです。
 だからこそ、自分の体の構造を知り、体調の変化を知り、ベストな体調を知っていなければならないのです。
 誰も『禁酒禁煙』をしろ!!だとか、睡眠時間をしっかりとれ!!とか、そんなことは言いません。むしろ、タバコ上等、お酒楽しく飲めればいくらでもどうぞ、でOKです。
 『好きな事を好きなだけやる』というスタンスは演技者を志す人にはとても大切な事だと思います。
 ただ、疲れを溜めない、翌日に残さない体を作る努力をして下さい。
 自分に合った『体力作り』の方法が必ずあるはずです。『それを探す努力をしていますか?』ということです。

 これから色々な場面で、何度も言うと思います。『試行錯誤』して下さい。
 『腑に落ちるまで考えて下さい』と。

では、次回は私が思う体力アップの為に先ず考えるべき【ABC】をご紹介します。

  

【6】体力の為のA・B・C
      
 体力とは、筋力・心肺能力・俊敏性などの総合的な身体能力をいうことが多いのですが・・・
 瞬発力・持久力などの筋肉系のアップの仕方は、想像がつくというか、皆さん当然分かっているし、特に腹筋等はしていると思うので、ここでは、『健康維持』という観点で話をしていきたいと思います。
 何をするにも【基本】というものがありますし、全ての事は、基本を踏まえて考えなければいけない、というか定期的に基本を見つめ直すことが非常に大切だと思います。

A.アライメント
 これは、ピラティスの考え方なのですが『本来あるべき姿』(=基本)と考えます。学校の理科準備室にある骨格標本をイメージしていただければわかり易いかと思います。
 人は生きていく過程で、様々なクセが付き正しい(楽だ)と思っている姿勢がいつの間にか、あちこち『歪んで』しまっています。
 『歪む』ということは、知らず知らずのうちに体に負担をかけているということになります。ですから、【本来あるべき姿】に戻してやる努力をして下さい。

 これは、演技にも言える事です。長い月日レッスンをしたり、現場にいると知らず知らずのうちに表現に【クセ】がついてしまう可能性が高くなります。
 それを理解した上で磨き込むと【個性】と呼ばれるものとなり安易に過ごすと只の【クセ】となります。

 定期的に基本に立ち返る努力を心がけて下さい。

 話が横道に逸れてしまいましたが、自分の体(骨格)を、前後左右から鏡に映し、骨格の歪みを確認、矯正をする努力を時々して下さい。

  

【7】体力の為のA・B・C その2
          
 骨格の次は・・・

B.ブレス
 演技を考える上で『腹式呼吸』は絶対に避けて通ることは出来ませんが、ここでは、肉体を鍛える為、整える為に『胸式呼吸』を考えます。
 口から余分な息をしっかりと吐き、お腹をギュッと引き締めます。そのお腹をキープしつつ(横隔膜が下に降りないようにするため)肋骨を横に広げるように鼻から息を吸う。
 一時期流行ったロングブレスダイエットのような感じです。
 これをすることによって、『腹斜筋』・『腹直筋』・『骨盤底筋』などを鍛えていきます。『腹直筋』は内臓を安定させるコルセットのような役目を持っています。
 位置が安定すれば、当然機能も安定してきます。栄養の摂取などが、効率良くなると思います。健康で疲れを溜めない体には、健康な内臓が必要不可欠なのです。

C.コア(コントロール)
 コアを意識し、体幹の安定・強化を図ることで、身体の不調を取り除きます。
 この際の『体幹』とは、頭部・四肢を除く全ての事(インナー・アウター両マッスル)を言います。

・インナーマッスル・・・深層筋
 正しい姿勢を保ち、アウターマッスルの補助をします。

・アウターマッスル・・・表層筋
 関節の動きなど大きなパワーを発揮する。
 横隔膜・腹横筋などを意識していくことで調和のとれた繋がりのある身体となります。

 このようにA・B・Cを関連付けながら全身を、骨格・筋肉レベルで考えてあげると健康な体作りができるのではないでしょうか?
 あと、リンパの流れやツボ、栄養素の知識など知っておくと、免疫力をアップするのにとても役立つはずです。
 興味が持てるモノは、何でも構いません!ドンドン知識を取り入れていきましょう!!